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映画「ラストマイル」最後の意味を考察!ロッカー2.7m/s→0, 70kgは暗号なのか…

映画「ラストマイル」最後の意味を考察!ロッカー2.7m/s→0, 70kgは暗号なのか…

2024年8月23日に公開が開始された映画『ラストマイル』は巨大物流倉庫を舞台にした社会派サスペンス映画です。

物流システムの仕組みや問題点を鋭く描いた映画作品はまだまだ珍しく、本作品はドラマファンや普段は洋画しか見ない映画ファンからも注目を集めました。

本作のタイトルになっているラストマイルとは、通常ネット通販で商品を購入する際、トラックの運転手が自宅まで届けてくれる最後の区画のこと。身近な題材が扱われているので、ストーリーの中にスイスイと入り込んでいけますよ!

そんな『ラストマイル』には様々な箇所に小ネタや謎が仕込まれているのです。この記事では、ラストマイルのロッカーの暗号や終盤のシーンの意味を考察していきます!

この記事には物語の結末など重要なネタバレを含む可能性があります!ご注意ください!

目次

映画『ラストマイル』の基本情報・登場人物・あらすじ

画像引用:東宝公式サイト

映画『ラストマイル』の基本情報

タイトルラストマイル
公開日2024年8月23日(金)
脚本野木亜紀子
監督塚原あゆ子
キャスト満島ひかり、岡田将生、阿部サダヲ、ディーン・フジオカ、火野正平、宇野祥平、安藤玉恵、丸山智己、大倉孝二、酒向 芳、綾野 剛、麻生久美子ほか
主題歌米津玄師「がらくた」
上映時間129分
関連サイト映画『ラストマイル』公式サイトWikipedia

本作品は国内ではまだまだ珍しいシェアード・ユニバース作品で、人気ドラマ『MIU404』や『アンナチュラル』の世界と繋がっています。

『MIU404』や『アンナチュラル』との繋がりについての詳しい記事は、こちらです↓
「ラストマイル」MIU404とアンナチュラルの何話が関係?見ていない人へ出演キャストを簡単紹介

映画『ラストマイル』の登場人物

以下でご紹介するのは、超基本的な登場人物となります。この他にもドラマ『アンナチュラル』や『MIU404』のキャストがちょこちょこと出てきて、様々な活躍を見せてくれますよ!

舟渡エレナ(演:満島ひかり)
デイリーファーストの関東センターのセンター長。配属されて早々に爆発事件が勃発。事件と向き合ううちに、これまでにない感情が込み上げてきて考え方が変わる。梨本には福岡から来たと説明するが、実はアメリカの本社にいた。

梨本孔(演:岡田将生)
舟渡の若い部下。前職はホワイトハッカーだが、2年前デイリーファースト社に入社。淡白な性格で、欲も野心もない。そっけない態度で舟渡を出迎える。

八木竜平(演:阿部サダヲ)
羊急便の関東局局長。普段からデイリーファースト社の言いなりでうんざりしていた。爆弾の騒動に巻き込まれ、自身も部下も警察や舟渡に振り回される。

五十嵐道元(演:ディーン・フジオカ)
デイリーファースト日本支社の統括本部長。舟渡の上司でエリートだが意地が悪い。自身や会社の利益を追求する性格。

佐野昭(演:火野正平)
羊急便の委託ドライバー。個人事業主で失業した息子・亘と荷物を運んでいる。1件150円の配送料で、羊急便の荷物を配送している。

佐野亘(演:宇野祥平)
40代ぐらいの男性。以前勤めていた会社が倒産したため、今は父の昭と宅配業をやっている。

松本里帆(演:安藤玉恵)
2人の娘を持つシングルマザー。夫との離婚が原因で娘たちとの関係が上手くいかず、会話もぎこちない。

毛利忠治(演:大倉孝二)
西武蔵野署所属の刑事。刈谷を相棒に爆破テロ事件の捜査を続ける。

刈谷貴教(演:酒向 芳)
警視庁捜査一課の刑事。「ロジスティクス」が上手く言えずカミまくりでその場を和ませる。毛利をバディとして捜査。

映画『ラストマイル』のあらすじ

画像引用:映画.com

起:ブラックフライデー前夜の惨事

ブラックフライデーの前日、大手ショッピングサイト「デイリーファースト」の物流倉庫、西武蔵野ロジスティクスセンターに新任の舟渡エレナが転任してきます。

舟渡は前任者が使用していたロッカーに「2.7m/s→0スペース70kg」という暗号が書かれているのを見つけました。

その晩デイリーファーストの荷物が古アパートの1室に配送され、その直後に大爆発が起こります。荷物の受け取り人は死亡し、この商品が関東センターから配送された物だとわかりました。

その後も都内の数ヶ所で爆発事故が発生。いずれも昨晩と同じ倉庫から届いた荷物でした。

警視庁の刈谷と毛利は舟渡を訪ね、倉庫内の作業停止を言い渡します。しかし日本支社の五十嵐は高圧的な態度で、舟渡に稼働を止めるなと指示しました。ブラックフライデー週間は、企業にとって大きな利益を生む稼ぎ時です。流通を止めたくない舟渡は警察にチェックさせながら安全な箱を随時羊急便が発送するという方法を提案し、その方法で捜査が進むことになりました。

承:爆破予告動画

そんな中、舟渡はネット上で奇妙なCM動画を見つけます。動画の内容は「全部で12個の爆弾が爆発するぞ」という意味合いで明らかにデイリーファーストに向けられた爆破予告でした。

警察の調べから、CM動画が元西武蔵野ロジスティクスセンター長である山崎佑の名前で制作依頼されたものだと判明します。

そこでドラマ『MIU404』の4機捜や刑事らが、懸命に山崎を捜索。しかし見つかった山崎は、病院で植物状態のまま横たわっていました。5年前武蔵野ロジスティクスのセンター長だった彼は、倉庫の3階からベルトコンベア目がけて飛び降りてしまったのです。

伊吹の協力もあって捜査陣は、山崎の恋人が犯人なのでは?と気づきました。派遣スタッフは休業になり、大勢の警官が倉庫の中に入って爆弾の箱を探します。

一方舟渡は倉庫に宿泊し、この状況を見守ります。梨本孔は舟渡がセンター到着後すぐに山崎の従業員データをPCからこっそり削除したことに気づき、実は彼女が犯人では?と疑いはじめました。

転:山崎の過去

画像引用:映画.com

その直後、舟渡が手にした箱に爆弾が仕掛けられていることが分かります。硬直し恐怖心から涙を流す舟渡。梨本が呼んだ爆発物処理班を待っている間、舟渡は自分がアメリカ本社から赴任してきたことや、以前山崎の恋人が自分を訪ねてきたこと、業務のストレスから不眠症を抱えていたことを話します。

その後処理班が来て爆弾は無事に処理されました。この件で梨本は舟渡を疑うのをやめ、2人の心理的距離は縮まります。舟渡と梨本はロッカーの暗号から「山崎がブラックフライデー商戦を恐れていた」のだと理解しました。山崎が仕事で追い詰められて、ベルトコンベアを止めようとしたことは明らかです。

2人がデイリーファーストの派遣社員を調べていると、山崎の彼女である筧まりかの名前が挙がります。筧はブラックフライデーのセール品を12個購入していました。筧は一旦購入したセール品に爆弾を仕込み、代行サービスを利用して倉庫内に商品を入れ直していたのです。

舟渡はこの購入履歴を警察に見せ、残りの爆弾を見つけようと羊急便の八木にも協力を求めます。しかし八木は今回の事件で心底疲れ切っていて、舟渡の要求を受け入れません。

山崎の件を知ってからというもの、デイリーファーストに対して憤りを感じているのは舟渡も同じでした。彼女は八木にストライキを勧め、自らも解雇される覚悟をします。

警察が筧の購入履歴と同じ商品を調査すると、予想通り爆弾入りの箱が次々見つかりました。すでに筧からの依頼で爆弾を作った男が逮捕されていたことから、爆弾の内1つは不発弾だったことが判明しています。そこで購入履歴の商品の1つであるぬいぐるみから爆弾が見つかりませんでしたが、不発弾だから使用されなかったのだという結論にいたります。

結:まだ見つかっていない爆弾

翌日舟渡は羊急便のストライキを五十嵐に伝えます。五十嵐が運賃アップの交渉に渋々応じたことで、物流は無事再開。五十嵐はこの失態を舟渡のせいにしますが、舟渡は逆に山崎の自殺未遂について言及しました。

一方ドラマ『アンナチュラル』の不自然死究明研究所の三澄たちの検死から、最初の爆発で筧が自ら不発弾を使用し自爆したことがわかります。そうなると残り11個の商品には全て爆弾が入っているはずなのに、爆弾入りの箱が10個しか見つかっていないのはおかしいという話になりました。

そして舟渡はその箱がもう既にどこかの家に到着していて、何らかの事情で未開封だから爆発していないのではないかと気づくのです。爆弾入りの箱は、松本のマンションの宅配ボックスに入ったままでした。

この箱を、ドライバーの佐野親子が回収に向かいます。到着後息子の亘が、爆発寸前の箱を松本家の洗濯機の中に放り込むことで危険を回避。その洗濯機はとても頑丈で、それは以前亘が勤めていた会社の製品でした。

事件は一応解決。ストライキによって委託ドライバーの1件あたりの配達料金が20円上がりますが、父の佐野昭は焼け石に水だと言って笑います。

毛利たちは、パトカーの後部席で疲れて寝ている舟渡に呆れるのでした。

解雇処分となった舟渡は、ロッカーの鍵を次のセンター長・梨本に渡します。

映画『ラストマイル』ロッカーの暗号やラストシーンを考察!

画像引用:映画.com

本作のキーパーソンである山崎は、過労のせいで通常では考えられないような行動に出てしまいました。彼が残したロッカーの数字は意志を持っており、事実を証明する重要な証拠になっていきます。

ロッカーに書かれたメッセージは暗号?2.7m/s→0 70kgの意味を考察

2.7m / sという数字は…

この倉庫でのベルトコンベアーと同じスピードで、劇中舟渡はちょうど早歩きぐらいのテンポだと話しています。

2.7m / s→0は…

そのスピードをゼロにするということ。つまりベルトを止めてセンター内の稼働率をゼロにすることを意味します。

そして70kgという文字が意味しているのはベルトコンベアーの耐荷重です。これを書いた時、山崎はベルトに70kgの重みがかかれば、流れが止まり皆がゆっくり休めると考えたのでしょう。

それを実現するために山崎は危ない賭けに出たのです。こんな危険なことをしてでも休みたいという心境は、なかなか想像できません。この不思議な数字の配列が残されていたから、舟渡や梨本は山崎の事故の原因が劣悪な作業環境のせいだと読み取りました。

0が二重に書かれていたのはなぜ?

ロッカーにマジックで書かれたメッセージの「0」だけが、なぜか2重になっている理由が劇中では明かされていません。

考えられる理由その①
稼動率を絶対0にしてやるという気持ちが強かったから

考えられる理由その②
山崎の後任のセンター長の誰かが、山崎と同じように追いつめられた時この暗号の意味がわかり、0を書き足した。

鑑賞者からすれば妙に気になる部分ですが、いずれにしても何かの伏線になっている可能性は低いようです。

エレナが「知りたかったことはロッカーの中にあったのに」と言った理由

舟渡がこのセリフを悔しそうに吐くシーンを初めて見たときは違和感を覚えますが、この「知りたかったこと」というのは、舟渡ではなく筧が知りたかったことだと解釈すれば腑に落ちます。

筧はロッカー内の山崎のメッセージを見ていないので本当のこと、すなわち恋人が職場の作業環境のせいで自殺を試みたと確信できないまま犯行に及んでしまいました。

筧は山崎が「自分との結婚について悩み自殺を図ったのかも?」という疑いや自責の念があったため、死を選んだのだと考えられます。

舟渡はそれが残念に思えて仕方がなかったのです。

ラストシーンの梨本はなぜあんな表情を?

ラストのシーンでロッカーの前にいた梨本は、例の数字を眺めながら何かに気がついたような、ハッとした表情をします。このタイミングで、梨本は一体何に気づいたのでしょうか?

結論:この数式こそがデイリーファースト社にとって都合の悪い爆弾であると気づいたのでしょう

また自分がそのキーを握っているのだという自覚をした瞬間かもしれません。これは梨本が山崎と同じ立場のセンター長になったことで、そのプレッシャーを実感できるようになり、新たな発見があったのだと考えられます。

映画『ラストマイル』の爆弾の数に関する疑問やトリック

画像引用:映画.com

この章では鑑賞後何となくモヤモヤする、爆弾の数やトリックについて考察&解説していきます。

結局、爆弾の数は何個だったのか?

話が進んでいくうちに、犯人の爆弾の使用数が何個なのか分からなくなったという意見が見受けられます。

結論:爆弾は犯人の予告動画通り12個です!

これは犯人の筧から依頼を受けて、爆弾を作った男の証言とも合致しています。

ただし12個中1個だけ不発弾がありました。

その不発弾を使い、筧は自ら自爆したと考えられます。これで時期的に爆弾を仕掛けることが不可能だと思われる、新商品のデイリーフォンが爆発した理由にも説明がつきます。

しかし劇中に舟渡の妙な発言があったため「13個目の爆弾?」などと視聴者を混乱させてしまったのです。

エレナの台詞「爆弾はまだある」の意味

ストーリーの終盤に舟渡はアメリカ本社のサラに「爆弾はまだある」と言います。これについては劇中で説明されておらず、鑑賞者に大きな疑問を残しました。

これは以下のように、例え話や脅しと捉えるのが適切でしょう。

解釈1

舟渡の気持ちが爆発寸前である、すなわち自身の心情を表している。

解釈2

爆弾=デイリーファースト社を脅かす存在であることから、今後何らかの形で新たな問題が起こるかもしれないよ、と仄めかしている。

舟渡がクビになったことで、梨本の手にロッカーのキーが渡りました。山崎は覚書にサインをしてしまったので裁判でデイリーファースト社を訴えることは不可能ですが、梨本は何らかのアクションを起こすことが可能です。ロッカーに書かれた「2.7m / s →0」の伝言こそが爆弾なのだと彼女は言いたいのです。

解釈3

爆弾は本当はないのに、わざと嘘をついている!

劇中で舟渡は、もし自分が犯人なら爆弾の数をわざと1つ多めに公表すると言っています。そうすれば悪質な労働環境を改善しないデイリーファースト社側の人間は、探しても見つからない爆弾に怯えながら探し続けることになるでしょう。

解釈1~3のうちどれが正解なのかはわかりませんが、筆者は2の解釈が妥当だと考えます。この理由なら、最後の梨本の顔つきにも説明がつくからです。

シングルマザー松本里帆宅が受け取った荷物に爆弾が入っていたのはなぜ?

警察は無事全ての爆弾を回収したはずだったのに、なぜ物語の終盤で松本宅の爆弾騒動が起こったのでしょうか?

ざっくり言ってしまえばセール商品がセール前に発送されていたことや、不発弾は使われなかったと判断されていたことが原因です。

筧が爆弾を仕込む用に購入した商品が12個。しかし最後の商品であるぬいぐるみだけは、爆弾が見つかりませんでした。

当初は警察も舟渡も、不発弾があったから最後の商品の箱には仕込む爆弾がなかったのだろうと解釈していましたが、後に筧が最初の爆発があったアパートで自死していたと判明。

筧がブラックフライデーのセール品ばかり狙って爆弾を仕込んだのは、明らかにそのシーズンを狙ってのことです。筧はブラックフライデーの前夜から、連続して商品が届き爆発事故が起こるように計画しました。

セール品は売れる確率が高く、通常人は安くなる商品をセール直前にわざわざ購入したりしません。しかしぬいぐるみの購入を決めたのは子供で、それは母親への誕生日プレゼントでした。子供はセールなど気にしませんし、ましてや贈り物なので安く買う必要もありません。よってブラックフライデーのセール期間より早く発送されてしまい、そこに誤算が生じたのだと考えられます。

架空の会社デイリーファーストから感じられる現代社会の闇

作品内の架空の外資系企業を覗いてみると、人間性を見失った物流業界の環境にゾッとさせられるでしょう。それなのに、どこか既視感のある光景!これは現実に起きていることでは?と錯覚するほど、リアルで恐ろしく表現されています。

加速する資本主義社会を誰も止められない!犯人筧まりかも、ある意味では犠牲者

本作の黒幕は人命を軽視するエリート社員の五十嵐。しかし五十嵐も所詮、資本主義社会の歯車に過ぎません。デイリーファースト社の社訓には「すべてはお客様のために」とあります。このお客様のためというのがくせ者です。

来る日も来る日もベルトコンベアが止まらないのは、消費者の購買欲求によるもの。多くの人が便利な暮らしに慣れ過ぎているため、ネット通販生活を止められません。

倉庫で働くスタッフや配達員が同時にネット通販の消費者であるケースを考えると、私たち多くの一般市民の誰もが加害者であると同時に被害者であるということなのでしょう。

広告代理店勤務の筧まりかにいたっては、デイリーファーストの労働環境とは無関係です。しかし大切なパートナーが意識不明となり、その上その濡れ衣まで着せられたことで、爆発事件を起こし自ら命を断ってしまいました。そのような意味では、筧もこの問題の犠牲者なのだと考えられます。

ラストマイルの佐野親子の会話を考察!「やっちゃん」はあまりに働き過ぎだった

画像引用:映画.com

劇中には委託ドライバーで宅配員の佐野親子が登場します。かつての仲間であったやっちゃんという男の伝説を度々語り、ノスタルジーに浸る父の昭。

やっちゃんは昼食も10分で済ませるほど仕事熱心な男で、月々の稼ぎも50万と高収入でした。息子の亘はそんな父の話をイヤイヤ聞いています。

終盤の会話では、やっちゃんが実は病気で、亡くなっていたのだとわかります。感情的になった亘が「でもやっちゃんは死んじゃったじゃないか」と嘆くシーンでようやくわかる真実。

ラストマイルの区間を担当するドライバーへの負担が大きいという問題が鋭く描かれています。働き過ぎで倒れてしまったやっちゃんや、昼ごはんもゆっくり食べることができない昭など。このような人々を描くことで、命よりも仕事を優先しなければならない風潮に警鐘を鳴らしているのです。

映画『ラストマイル』を見た後に、いまいちスッキリしないのはなぜ?

素晴らしい作品ですが、鑑賞した人からはどこか釈然としないという意見も出ています。その理由を考えてみましょう。

例え話が多過ぎてよくわからない

舟渡の台詞には「金太郎と桃太郎」の話や「唐揚げ弁当とのり弁当」の話などがあり、これがよくわからなかった視聴者が多数出ています。また、ドラマ2作品のような見終わった後の爽快感がないのも難点。映画ではなくドラマのように回を重ねて、ゆっくり見たかった人もいるようです。

単純明快な結末を求めていたのに、ハッピーエンドじゃなかったから

運送業者のストライキにより、委託ドライバーたちの1件あたりの配送料は20円上がりました。そこはよかったのですが、ある種の不安は残されたまま。これは事件の本質的な問題が未解決のままだからです。歪んだ資本主義の体制がそのままなので、犯人が分かればそれで済むというという問題ではありません。

よってこの何か腑に落ちない感じは物語上の意図であり「まだまだこれから考えていかなければならないことがある」ということなのでしょう。それこそがこの作品の持つメッセージなのだと捉えることができます。

この「スッキリしない感」へのアンサーとして舟渡共犯者説も考えられますが、その可能性は極めて低いと筆者は考えます。

なぜなら舟渡の犯行動機が明確ではないからです。

舟渡は確かに過労からのストレスで不眠症を患っていましたが、カウンセリングを受けたり長期間休んだりできる環境があります。また舟渡は洋服やお泊まりグッズの買い方から見ても、山崎たちよりはリッチです。

仮にデイリーファースト社を憎んでいたとしても、自分を訪ねてきた見ず知らずの筧と犯罪計画を立てるかどうかは疑問です。また不眠症で苦しみながら仕事をこなし、筧と共謀して爆破テロの計画を立てるのは難しそうですね。

ただしそのような様々な解釈がなされるのは、非常に興味深い現象です。そこも含めて本作品が持つ大きな魅力なのではないでしょうか?

まとめ

この記事では『ラストマイル』のロッカーの数字や、作品の持つメッセージ、爆弾の数に焦点を当て解説しました。

この映画は働く人の目線で描かれているので短期バイトなどを含め物流関係の経験がある方も、そうでない方も共感できる内容になっています。

この新感覚の社会派エンターテイメントを、皆さんもぜひ鑑賞してみてください!

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