「葛城事件」は、2016年に公開された家族の崩壊を描く日本映画です。
衝撃的な展開と俳優陣の演技を中心に高い評価を受けました。
衝撃的な内容ゆえに「怖すぎて2度と見たくない」と言われてもいる作品です。
こちらでは、映画のあらすじ、元ネタになった事件と「怖すぎる」と言われている理由について解説していきます。
映画の魅力がさらに伝わる内容なので、ぜひご覧ください!
作品名 | 葛城事件 |
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公開年 | 2016年 |
上映時間 | 120分 |
監督 | 赤堀雅秋 |
脚本 | 赤堀雅秋 |
音楽 | 窪田ミナ |
キャスト | 三浦友和 若葉竜也 南果歩 田中麗奈 新井浩文 |
配給 | ファントムフィルム |
【葛城事件】映画は実話?あらすじを起承転結でわかりやすく解説
『葛城事件』自体は実話ではないが、2001年に起きた無差別殺傷事件「附属池田小事件」や複数の事件がモチーフ。
「葛城事件」のあらすじを、起承転結に分けて紹介していきます。
いくつかの事件を基に作られた作品の顛末を、確認してみてください。
起:葛城家の実態
葛城家では、4人が揃っていても買ってきたピザを黙って食事するくらい、不穏な空気が漂っていました。
長男の保は真面目に生きてきたものの、リストラされたことを誰にも言えないでいます。
二男の稔はバイトがなかなか続かずフリーターのような状態で、父の清からよくバカにされていました。
母の伸子はギスギスした状態を、特に改善する様子もなく、諦めているようにも見えます。
父の清の横暴な振る舞いによって、葛城家の空気はみるみる淀んでいくのでした。
承:改善の余地がない状態
保の妻が妊娠して出産を控えていても、葛城家の雰囲気が良くなる兆しはありません。
相手方の家族と食事に行っても、清は店員にクレームをつけて、場を凍り付かせます。
清の振る舞いは改善の余地がなく、伸子は愛想を尽かせて別居するまでに至りました。
一方、保の家庭に子供が生まれるも、保はリストラされたことを未だに伝えられていません。
稔は、清がいる家庭に嫌気が差し、伸子が住んでいるアパートに顔を出す機会が増えていきます。
転:保の死
伸子のアパートに集まった保と稔は、家族がかつて感じていたささやかな幸せを、取り戻したかのように見えました。
ところが、清が突然伸子のアパートに現れて、物を荒らした上に稔の首を絞め上げます。
あまりの事態に伸子が「あなたのことなんて始めから好きじゃなかった」と言い放ち、清はその場を後にしました。
後日、ストレスが境地に達した保は投身自殺して、葬儀が開かれます。
ボロボロの家族の状態で葬式の雰囲気は最悪の中、稔が保の棺桶に向かって「一発逆転する」という意味深な一言を言い放つのでした。
結:稔の凶行
やがて稔が無差別殺傷事件を犯して、死刑判決を受けました。
すると、死刑反対を掲げる順子が稔との獄中結婚を申し込みます。
清は、伸子の病死後もマイホームで孤独に暮らしていました。
順子は清と分かり合おうと試みるも、清の横暴な振る舞いによって全く上手くいきません。
変わらず孤独な暮らしをする清は、自殺を試みて失敗し、部屋で1人蕎麦を食べ続けるのでした。
【葛城事件】映画の結末・ラストとネタバレ部分の解説!
「葛城事件」の結末や、ネタバレに関わる描写の解説をしていきます。
作品内で描かれる奇妙なモチーフについて、解釈に迷った方は、参考にしてみてください。
ネタバレ①:「葛城事件」映画の結末・ラストの意味は…
長男の保は自殺し、二男の稔は死刑執行され、妻の伸子は病死してしまい、清は孤独な人生を送っていました。
稔と獄中結婚をした星野順子は、清へ稔が死刑執行されたという報告にやってきます。
黙って話を聞いていた清は、突如順子を押し倒して「俺が3人殺したら結婚してくれるのか?家族になるのか?」と暴論を言い始め、順子に拒絶されました。
部屋に1人残された清は、庭の木で首つり自殺を試みるも、失敗して部屋に戻り蕎麦を食べ始めて映画は終わります。
ただ周囲に当たり散らしていたように見えた清が、実はとても家族を欲していたことがわかる切実な結末です。
自殺して家族のもとにすら行けない清は、孤独に生きる日常を受け入れているように見えました。
ネタバレ②:順子が稔と獄中結婚したのはなぜ?
死刑反対を掲げる星野順子は、死刑判決を受けた稔と獄中結婚をします。
猟奇的な殺人事件を犯した上に、残りの人生が限られている稔と結婚するのは、あまり合理的とは言えません。
順子は稔が犯行に至ったのは、稔だけの責任ではないと考えていたのだと思います。
実直過ぎる順子を前にして、稔は虚勢を張り清のように罵倒し続けていました。
最後まで話を聞く順子は、死刑の早期執行を望む稔とは裏腹に、少しでも長く生きて欲しいと伝えます。
順子は、エピソードがそこまで割かれないために考えが見えづらい人物ですが、人が人の命を裁くべきではないという、抵抗が感じられました。
ネタバレ③:稔が保の棺桶に語りかけた理由は?
あらゆるストレスに耐えられなくなった保は、投身自殺をしてしまいました。
家計が豊かではないにも関わらず、棺桶のグレードを上げる清に、周囲は冷ややかな目線を送っています。
そして稔が、保の棺桶に向かって「一発逆転するから」と呟きました。
家族のストレスがピークに達していたことから、既に犯行の覚悟が決まっていたのかもしれません。
保の気苦労を誰よりも近くで見ていた稔は、保の敵討ちを世間にしてやるという気概だったのではないでしょうか。
ネタバレ④:稔が凶行に及んだ理由
稔は、地下鉄で無差別殺傷事件を犯しました。
犯行に及んだ理由は、明確に劇中で語られることはありません。
稔が、収監された刑務所でも、よくある紋切型の犯行理由しか語られていませんでした。
ただ、稔が父や社会に対してかなりのストレスを負っていたことは確かです。
家族の呪縛から逃れるために、犯行を実行したと考えるのが最も自然ではないでしょうか。
【葛城事件】映画は実話?モデルなった事件や元ネタを解説
「葛城事件」のモデルになった事件や元ネタを紹介します。
作品の背景を知っておくと、さらに「葛城事件」が描こうとしてテーマが見えてくるのではないでしょうか。
①附属池田小事件
附属池田小事件は、2001年に起きた殺人事件です。
大阪教育大学附属池田小学校に侵入した宅間守が、児童8人を刺殺した上、15人に重軽傷を負わせました。
宅間守は、2003年に死刑判決が確定し、2004年に死刑執行されています。
3度の離婚を繰り返し多額の借金を抱えるなど、上手くいかない人生に悲観した宅間守が、通り魔殺人を実行したという経緯です。
「自殺よりもエリート学校を襲撃した方が世間への衝撃を与えられる」と考えて犯した痛ましい事件として、人々に記憶されています。
②土浦連続殺傷事件、秋葉原通り魔事件、池袋通り魔殺人事件
映画化されるにあたって、いくつかの事件をさらに参照にしたそうです。
土浦連続殺傷事件、秋葉原通り魔事件、池袋通り魔殺人事件を基にしたと言われています。
いずれも人通りがある場所で行われた犯行で、映画版の犯行シーンの参考にされていると感じました。
実行犯の背景には、複雑な家庭の境遇があり葛城家の家庭を描いていくために、参考にしているかもしれません。
③元ネタは劇団THE SHAMPOO HATの舞台「葛城事件」
映画版の元ネタとして、劇団THE SHAMPOO HATの舞台である「葛城事件」という作品があります。
劇団THE SHAMPOO HATは、映画版「葛城事件」の監督である赤堀雅秋さんの主宰演劇グループです。
もちろん元ネタの「葛城事件」の戯曲も、赤堀監督が書いており映画化にあたって脚色されました。
ちなみに、舞台版で稔を演じていた新井浩文さんが映画版では保を演じるという、大胆なキャストの変更がされています。
【葛城事件】映画が怖すぎ…と言われる理由
「葛城事件」のクオリティーが高い評価を受ける一方、「怖すぎる」と言われてもいます。
なぜ「怖い」と感じられてしまうのか、理由を解説してみました。
①三浦友和さん演じる父・清が怖すぎる
一番最初に挙げられる理由は、三浦友和さんが演じている葛城家の父・清の存在が怖すぎるというものです。
高圧的な態度で、家族を責め立て怒鳴り声を上げる清の存在は、確かに恐ろしく感じられます。
単に怖いだけでなく、中華料理屋でネチネチとクレームをつけたりする、嫌らしさもあるところが手に負えません。
実際に、清の存在が家族の崩壊の一因になっていると思います。
人によっては、清の存在が何かしらのトラウマを呼び起こす可能性もあるかもしれません。
それほど実在感がある恐怖を感じさせた、三浦友和さんの演技が素晴らしいということではないでしょうか。
②家族に漂う異様な雰囲気が怖すぎる
葛城家の異様な雰囲気を、怖く感じる人も多くいるそうです。
確かに常日頃からギスギスした雰囲気は、観ていて息が詰まり恐怖を感じてしまいます。
やけによそよそしい母親の振る舞いや、意思があまりない子供たちの姿は、どこか違和感を抱いてしまうかもしれません。
稔が口を聞かなくなったときに、伸子が「声優を目指しているから喉に負担をかからないようにしている」と庇う場面は、もはや異様すぎて笑ってしまいました。
獄中結婚する女性が登場したりと、行動原理が掴みづらい人物がいるのも、ちょっとゾワッとした感触が残ります。
③家族が崩壊していく様が怖すぎる
「葛城事件」は、キャッチコピーに”家族という地獄”と謳われている通り、家族の崩壊が描かれます。
保の自殺、稔の通り魔殺人事件と、問題の解決を先延ばしにした結果、最悪の出来事が起こってしまいました。
清と稔の対立、保のストレス、呑気な伸子の振る舞いなど、問題を野放しにすることで、家族の関係が少しずつ崩れていきます。
本当に恐ろしいのは、問題の先送りをどの家庭でもしているであろうという、映画の視点です。
映画の中で、葛城家は特別な家庭に描かれているとは感じませんでした。
むしろどこか身に覚えがあるからこそ、葛城家の末路が恐ろしく感じられるのではないでしょうか。
【葛城事件】映画で注目すべきキャスト3選!
「葛城事件」で要注目のキャストを3人ピックアップしました。
俳優陣の演技によって「葛城事件」の魅力は底上げされているので、ぜひ知っていただきたいです!
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①葛城清/三浦友和
葛城家崩壊の元凶となった父・清を演じたのは、ベテラン俳優の三浦友和さんです。
1970年代の芸能界デビューから、常に第一線を走っている名実ともに日本でトップクラスの俳優なのは間違いありません。
当時人気絶頂だったアイドルの山口百恵さんと結婚したことでも知られています。
近年では渋い役どころが増えており、ボクシングジムの会長を演じた「ケイコ 目を澄ませて」では、キネマ旬報の助演男優賞を受賞しました。
「葛城事件」の清は、横暴な性格で家族を委縮させ、周囲から煙たがられる役柄です。
好感度をかなぐり捨てる勢いの怪演が、作品の魅力を引き上げたのは言うまでもありません。
②葛城稔/若葉竜也
通り魔殺人を犯してしまった葛城家の次男の稔を演じたのは、実力派俳優の若葉竜也さんです。
本作の出演をきっかけにブレイクを果たし、ミニシアター系映画から朝ドラまで、幅広い作品に出演してきました。
近年では、杉咲花さんと共演した「アンメット」が高い評価を得ています。
「葛城事件」で演じた稔は、崩壊していく葛城家の次男で歪な環境からか、どんどん性格が捻くれていく過程を絶妙に演じていました。
刑務所に収容されてからの逆ギレのような振る舞いに、絶妙なリアリティーを感じられます。
③南果歩/葛城伸子
葛城家の呑気な母親を演じたのは、ベテラン女優の南果歩さんです。
1984年に「伽耶子のために」のオーディションで主演に抜擢されて以降、瞬く間にトップ女優へ上り詰めました。
ドラマ、舞台、映画と幅広いジャンルで活躍してきており、主演映画「ルール・オブ・リビング」の公開が決まっています。
「葛城事件」で演じた伸子は、高慢な清とは裏腹に呑気な振る舞いが目立つ人物でした。
インスタント食品や出前のピザが主食になっていても、なんとも思わない様子から、感覚がおかしくなっているように見えます。
終盤に見せる腹の底から湧き上がる怒りの演技に、驚かされた人は多いのではないでしょうか。
【葛城事件】映画の見どころ・重要ポイントを解説
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①清の仕事場を見逃すな
葛城家の父親である清は、自分が知らず知らずのうちに家族に悪影響を与えていました。
「俺が何をした?」というセリフを、何度も繰り返しているのが印象的です。
清は、父から引き継いだ個人商店を営んでおり、象徴的な空間になっているように思います。
仕事場のシーンで、清が椅子から狭い店舗を見渡すという描写が繰り返されていました。
まるで、清の視野の狭さ、器の小ささを表しているかのようです。
家族の変化に目を向けない視野の狭さが、葛城家の崩壊を招いたのではないでしょうか。
②保の人柄を見逃すな
葛城家で唯一常識的な人間として描かれていたのが、長男の保です。
定職に就き、結婚をしていた保は、最も社会的な暮らしを送ったと言えるでしょう。
しかし、最も葛城家の呪縛に囚われている人物でもありました。
父親の暴走をたしなめることはあっても、積極的に改善させようとすることはありませんでした。
”保(たもつ)”という名前が、変化を恐れている保の性格を象徴しているようにも思えます。
お人好しの保を責めるのは酷ですが、どこか一因を感じてしまいます。
ポイ捨てしたタバコをまた拾いにくる姿も、観ていて痛々しく感じました。
③食事シーンを見逃すな
全体的にジメジメした雰囲気の「葛城事件」ですが、食事シーンが印象的です。
保の妻側の家族と食事している中華料理店でのクレームや、美味しそうに見えないレトルト食品など、意地の悪い食事シーンが多く感じました。
映画のラストシーンも、清が総菜の蕎麦を食べているシーンで終わります。
意地の悪い食事シーンは歪な家庭を示しており、ラストの食事シーンは清が変わらないことを示しているように感じました。
自殺を失敗した清が、気を取り直し蕎麦を食べる様子に、言語化できない不気味さを感じる人も多いのではないでしょうか。
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【葛城事件】映画は実話の附属池田小事件や複数の事件をモデルにしている
- 「葛城事件」は附属池田小事件など複数の事件をモデルにしている
- 衝撃的な展開と普遍的な家族の物語が評判を呼んだ
- 細部に余白があり考察し甲斐がある作品
「葛城事件」は、附属池田小事件をはじめ複数の事件をモデルにしているフィクションの映画です。
劇中で稔が犯す無差別殺傷事件の衝撃と普遍的な家族の物語が評判を呼びました。
三浦友和さんらの俳優陣の演技も高く評価されて、あまりのリアリティーから「怖い」と感じる人もいるほどでした。
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