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USエアウェイズ1549便の不時着水事故を描いた本作。
事実を基にしており、さらに“全員生還”という圧倒的な事実が映画の箔となっている成功例です。
ヒューマンドラマをまっすぐ捉えるクリント・イーストウッド監督だからこそ描けた衝撃の実話。
今回は、映画「ハドソン川の奇跡」のあらすじやネタバレ解説のほか、実話とは異なる部分についてもふれていきます。
作品名 | ハドソン川の奇跡 |
---|---|
公開年 | 2016年 |
上映時間 | 1時間36分 |
監督 | クリント・イーストウッド |
脚本 | トッド・コマーニキ |
音楽 | クリスチャン・ジェイコブ ザ・ティアニー・サットン・バンド |
キャスト | トム・ハンクス アーロン・エッカート ほか |
配給 | ワーナー・ブラザース |
作品公式サイト | https://wwws.warnerbros.co.jp/hudson-kiseki/ |
【ハドソン川の奇跡】実話と違う?映画のあらすじをネタバレ解説
映画「ハドソン川の奇跡」はUSエアウェイズ1549便不時着水事故の実話を題材にしているが、相違点もある。
まずは映画のあらすじを起承転結に分けて”わかりやすく”紹介します。
起:厳しい調査
USエアウェイズ1549便が、ハドソン川に緊急着水。
「着水すれば全員が死ぬ」という常識をくつがえし、チェズレイ・サレンバーガー機長は、乗員・乗客155名全員の命を守りました。
サレンバーガー、通称サリー(演/トム・ハンクス)は、40年以上の間を飛行機とともに生きてきた男。
酒や薬物の問題もなく、きわめて優秀な経歴をもち、やさしい妻と2人の娘に恵まれたサリーを今、世界中がもてはやしています。
全員の命を救った神のような男として、マスコミに追いかけまわされる日々は、サリーを確実に疲弊させていました。
加えて、当然の行程とはいえ国家運輸安全委員会(NTSB)の厳しい事故調査が、サリーにストレスを与えます。
NTSBの見解は、世間のそれとは真逆をいくものでした。
着水せずとも、緊急着陸できる距離に2つの飛行場があったとするNTSBと、真っ向から否定するサリー、そして副操縦士としてサリーを支えるジェフ(演/アーロン・エッカート)。
人の波にもまれながら、サリーは、妻と娘たちにひと目会う機会も与えられずに、落ち着かない日々を過ごしています。
承:真実と疑惑の狭間で

事故のストレスは、サリーを蝕んでいました。
マスコミの目をのがれ、NTSBが出す調査結果を待つ日々は、まるで犯罪者のような肩身の狭さ。
夜の町に溶け込みランニングをすることくらいしか、自分を保つ方法がありません。
USエアウェイズ1549便の事故は、昼も夜もなくアメリカ中で議論され、サリーは眠ることもできませんでした。
唯一の頼みの綱であるジェフは、疲れ切ったサリーを励まし続けます。
ジェフこそが、サリーの真横で真実を見ていた、たったひとりの証人なのです。
事故のトラウマに苦しみながらも、町で「ありがとう」と声をかけられるたび、ぎこちなく微笑むサリーの生真面目な人間性こそに、この事故の真実があるように思えます。
転:あの日のすべて
サリーは、何度も何度も脳内で事故を反芻します。
離陸直後、鳥の群れと衝突した機体。
すると、低空で両方のエンジンが止まってしまいます。
パイロットの誰ひとりとして訓練したことのない、絶体絶命のハプニング。
サリーとジェフは、落ち続けていく飛行機の中で、きわめて冷静に最善策を探ります。
管制塔の指揮者は、近くにある2つの空港への着陸を要請しますが、サリーは長年の感覚で、即座にハドソン川への着水を決意。
ジェフもまた、サリーに反論することなく、淡々と着水に向け操作盤を動かします。
クルーたちは全員、プロフェッショナルとして乗客に指示を出し続け、乗客たちもパニックを抑え指示に従いました。
乗員・乗客全員の力が集結して、飛行機の着水は奇跡的に成功。
機外へ避難した155人を、船やヘリコプター、潜水艦などあらゆる方法で救助しにきてくれた人々。
真冬の川は極寒でしたが、迅速な救助活動によって、全員の命は救われたのです。
もちろんサリーに違反行為などはなく、機転を利かせ奇跡の着水を成功させた機長であることが、紛れもない事実なのでした。
結:調査結果

NTSBによる公聴会の日。
サリーとジェフの前に、コンピューターシミュレーション映像が展開されます。
映像に映るパイロットは、鳥との衝突を受けたあと、2つの空港に着陸するシミュレーションに何度も成功していました。
公聴会の雰囲気は、サリーを責めるようなもの。
しかし、サリーは毅然とした態度で「人的要因の考慮がないのはおかしい」と反論します。
誰ひとり経験したことのない低空でのエンジンストップで、次の一手を考える時間、様々手を尽くしてみる時間、クルーと連携をとる時間、そういった人間と人間のやり取りをする時間が考慮されていなかったのです。
実際にシミュレーション映像は、17回ものリハーサルを経て撮影されていました。
サリーの申し出を経てNTSBは、35秒の“考慮の時間”を設定。
すると、シミュレーションはことごとく失敗し、機体は町中に落下します。
続いて、当日のUSエアウェイズ1549便が、実際に落下するまでの音声を流す公聴会。
サリーとジェフは、自分たちがおこなった一連の機体操作をあらためて聞いて、誇りを取り戻します。
2人の決断だけが、唯一の正解だったのです。
NTSBは、自らの誤りを認め、2人に賛辞を述べました。
サリーとジェフは、乗員・乗客、そして管制塔、救助にあたってくれた人、皆に心から感謝。
実直な2人の人間性が証明された調査となったのでした。
【ハドソン川の奇跡】結末・ラスト&実話と違う部分と胸糞なのかネタバレ解説
続いて、映画のラストシーンや実話と違う部分、「胸糞」と言われる理由などについてふれていきます。
「ハドソン川の奇跡」結末・ラストシーンの詳しい解説
胸アツすぎる公聴会。
映画は、この公聴会に向かって進んできました。
スポーツ映画でいうところの最終決戦です。
公聴会の2日前、サリーは“人的要因”の重要性に気づきます。
先に予定されていた操縦士によるシミュレーションを早め、彼らがリハーサルに基づかない操縦をしたとき、無事着陸できるかを確かめようとしたのです。
サリーの作戦は功を奏し、NTSBの面々の決定を大きく覆す結果に。
いつも真正面から可能性を見極め、感情論を排して物事と向きあうサリーだからこそ、公聴会を笑顔で終えることができたのです。
そんなサリーの真面目さこそが、この事故で全員生還を成し遂げた一番の理由でした。
職務とはいえ、サリーをとことん警戒し怪しみ“英雄”以外のあらゆる可能性の芽をつむ作業をしてきたNTSB。
そんなNTSBの面々が、自分たちの調査の穴をみとめ、サリーに感謝を述べる姿はなんともアメリカ的。
ただ、英雄を「本当に英雄でした」と認めるまでの物語でありながら、観客の心をわしづかみにするのは“奇跡の実話”の握力がゆえでしょう。
エンドロールに登場する本物の生還者たちとサリーの姿には、思わず拍手してしまうほど。
取り調べの描写が実話と違う?

実話とはいえ、NTSBのくだりの一部は創作。
実際のNTSBも、もちろん型どおりの事故調査はおこないました。
鳥との衝突後、瞬時に空港をめざせば着陸は可能というシミュレーションをおこなったことや、人的要因を加味しなかったことなどは事実ですが、NTSBも人間の集団。
ミスもあり得るし、様々な可能性を追求するのがNTSBの職務であるのだから、当然でしょう。
劇中のように、サリーたちを容疑者のように責め立てる場面はもちろんなかったといいます。
「サリーの判断が誤りであったかもしれない」という視点は、映画独自のものです。
映画の描写について、実際のNTSBからは反発の声が上がり、実名で登場するはずだったNTSBの面々の役名は、サリー本人の申し出により架空のものに変更されました。
胸糞と言われる理由は”取り調べ”の執拗さが原因

NTSB対サリーの悶々とするやり取りあってのカタルシス。
「ハドソン川の奇跡」と冠された物語で、実話の結末を知っている観客が最も見たいものは、奇跡の救出劇でしょう。
ドラマの天才・イーストウッドは、その最高到達点をより高めるために、英雄でしかないサリーをことごとくいじめます。
イーストウッドといえば、善と悪、その狭間でゆれる繊細な人情を描くカリスマ。
アメリカで絶対的英雄のサリーを、作品の中では微妙な立場に置いて観客を不安にさせます。
NTSBによる“取り調べ”や、野次馬根性のリポーターを露悪的に描き、サリー、そして観客を追いつめていく。
積もった不安が、一気に解放され爆発する設計の本作。
さすがの手腕ですが、胸糞をエンタメに昇華できるというのは、全員生還の事実あってこそでしょう。
【ハドソン川の奇跡】映画の実話部分を解説!実際の事故の原因や機長のその後は
次に、映画の元となったUSエアウェイズ1549便不時着水事故について解説します。
USエアウェイズ1549便不時着水事故の概要
事故の詳細は、映画で細かく描写されています。
ニューヨーク・ラガーディア空港から離陸したUSエアウェイズ1549便は、離陸から5分で鳥の大群と衝突。
上空で両方のエンジンがストップします。
管制塔は、ラガーディア空港へ引き返すか、近くにあるテターボロ空港への着陸を提案しますが、機長のサリーの判断でハドソン川へ着水。
機体が沈没する1時間の間に、周囲のフェリー・潜水艦・ヘリコプターなどが、機体の羽の部分に避難した乗客たちを救助しました。
事故で亡くなった人は何人?
乗客・乗員155人が全員生還。死亡者はいませんでした。
事故が起きた当時ニューヨーク州知事だったデビッド・パターソンが「ハドソン川の奇跡」(Miracle on the Hudson) と呼び、サリーたちクルーの働きを称賛したことが、本作のタイトルの由来。
緊急着水で1人も死者を出さなかったこと、極寒の川から即座に救出活動がおこなわれたこと、すべてが、人間が起こした奇跡といえるでしょう。
「NYのいいニュースは久しぶりだ、特に飛行機がらみで」という台詞が胸に残りました。
事故の原因は?
両エンジンにバードストライクが起こったこと。
バードストライク(英語: bird strike)とは、鳥類が人工構造物に衝突する事故をいう。鳥衝突ともいう。
ーWikipedia:バードストライク
雁(がん)の群れと正面衝突したことにより、エンジンが破壊されストップしました。
最低でも4㎏はある大型の雁の群れだったのだそう。
当初はテロの可能性も疑われていましたが、事故の原因は鳥との接触によるものと結論付けられています。
チェズレイ・サレンバーガー機長のその後は?
2009年10月1日、サリー機長は事故のあった便と同じ路線で復帰!
事故の後、大統領ふくめアメリカ全土から賞賛されたサリー。
事故にめげず、引き続き機長としてフライトを続けることこそがサリーの生きざまだと、劇中から汲み取れました。
事故をともに乗り越えたジェフを副操縦士としてむかえたサリーの復帰は、なんともアメリカらしい同路線!
事故からたったの9ヶ月しか経っていないにもかかわらず、事故機に乗っていた乗客のうち4名が、この10月のフライトに乗ったというから驚きです。
翌年、サリーはパイロットとしての勤務を終了。
ちなみに、事故を起こした機体は、この奇跡の顛末によりカロライナ航空博物館(現・サレンバーガー航空博物館)に展示されています。
【ハドソン川の奇跡】映画で注目のキャスト・登場人物を紹介
続いて、印象的&重要なキャストを3名紹介します!
①チェズレイ・“サリー”・サレンバーガー役/トム・ハンクス

あえて外すとかもありえない、圧倒的主役・サリー。
スティーヴン・スピルバーグ監督「ターミナル」のイメージか、飛行機といえばトム・ハンクスの顔が浮かんでくる方も多いはず。
サリーという実在の人物同様に、自分よりも他人に重きを置くスタンスを保ったトムの芝居。
プロフェッショナルとして最善を尽くすトムの姿は、そうして155人の命を救ったサリーと完全に重なります。
1979年の映画デビューから今日に至るまで、粛々と俳優道を歩んできた感のあるトム。
サリーを演じるのに、かなり適した人材でしょう。
②ジェフ・スカイルズ役/アーロン・エッカート

続いては圧倒的助演、アーロン・エッカート。
ほぼ出ずっぱりの張本人、サリーとジェフではありながら、映画全体の印象としてはやはりサリーが主人公と感じます。
それこそが、アーロンがどれほど名優であるかを示す根拠。
あくまで機長と副操縦士の関係性を、スクリーン上でも崩さない姿勢にあっぱれ!
公聴会の最中、サリー本人から讃えられることで初めて自分自身を誇るジェフ。
サリーを心底信じ、支え続けるジェフが最高に胸アツでした。
③ビンセント・ピーター・ロンバルディ船長役/本人
着水した飛行機が水没するまでのわずかな時間で、全員を救い出すことに成功した要因は彼の存在にあるでしょう。
映画では、救助に向かったフェリーの船長を、ビンセント・ピーター・ロンバルディ自らが演じています。
映画の骨格を固める絶対的リアリティとして機能した、本人のキャスティング。
イーストウッド監督は、可能な限り当事者への出演交渉をおこなったのだそう。
ビンセントの他にも、刑事や救助隊、ニュースキャスターやパイロット、ボランティアの人々などに実際の関係者がキャスティングされています。
【ハドソン川の奇跡】映画の見どころ・重要ポイントを紹介
次に、映画の見どころや重要なシーン・見逃してはいけない箇所などを3選にして紹介します。
①小粋かつ不謹慎なフラグ

飛行機の行く末や、ことの顛末を知っている観客を楽しませるための小粋な台詞の数々。
他の便に乗れずUSエアウェイズ1549便の空席にパラパラと乗りこんだ、ラッキーな(?)一家は、並びの席はないといわれ「翼の上でもいい」と冗談をかまします。
本当に翼の上に乗ることになろうとは、なんともフラグ的な台詞。
キャビンクルーたちが「ラガーディアから一度は定刻通りに出たい」と遅延しがちな便に文句をいいますが、こちらもフラグ的。
そんな冗談の5分後には、遅延とか言ってる場合じゃない事態に陥るUSエアウェイズ1549便。
不謹慎なフラグは、映画だからこそ輝きます。
②はしゃぐ市民たち
サリーが起こした生還劇は、ニューヨーク市民をブチアゲます。
絶対的ヒーローとして世界中に愛されるサリーは、例えるならショウヘイ・オオタニ的存在。
いきなりスーパー公人となったサリーの人権は無意識に踏みにじられることに。
「女性からのハグやキスに喜ばない男はいない」とでもいわんばかりの勢いで、サリーにベタベタとまとわりつく他人はキツい!
2025年では裁判沙汰でしょうが、正義という名の暴力や、善意の市民による無自覚の攻撃がサリーを襲う描写には、イーストウッド監督のシニカルな視点を感じます。
③エンドロール

本作のメインはエンドロールにあり!
本物のサリーと奥さま、そして事故機に搭乗していたお客さんの数名が一堂に会した映像は胸アツです。
皆が笑顔なのもまた最高。
トラウマとともに生きながらも、前を向いて歩んでいる当事者を映す映像は、見る者の勇気にもなります。
本編のすべてが、このエンドロールのための前フリだったと捉えてもいいほど素晴らしい映像です。
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