1860年代に起きた戊辰戦争、その最中でおこなわれた裏切り行為。
映画「十一人の賊軍」は、歴史的事実をもとに超エンタメ方向に舵を切った、いわば「スーサイド・スクワッドinジャパン」なのです。
罪人たちが暴れまわる映画なんて楽しいに決まってる!
しかも「凶悪」の白石和彌監督作品ですから、なにやら血なまぐさくて興奮します!
映画のあらすじやキャストといった情報から、元ネタを経て、全体の楽しみ方などについてネタバレありで解説していきます。
作品名 | 十一人の賊軍 |
---|---|
公開年 | 2024年 |
上映時間 | 2時間35分 |
監督 | 白石和彌 |
脚本 | 池上純哉 |
音楽 | 松隈ケンタ |
キャスト | 山田孝之 仲野太賀 玉木宏 阿部サダヲ ほか |
配給 | 東映 |
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【十一人の賊軍】映画は実話?あらすじを簡単に紹介
【結論】「十一人の賊軍」は、幕末の戊辰戦争時にあった新発田藩の裏切りの実話を元にしたオリジナルストーリー。
慶応4年、戊辰戦争。
歴史を重んじる旧幕府軍と、変革をもとめる新政府軍は、対立する志を掲げて戦争を続けていました。
「国をよりよくしよう」という気持ちは共通しながらも、民たちの命を踏みにじりつつ進められた戦争。
戦の時代だったのだから、と言いたくなる観客の気持ちに「待った」をかけるのが、集められた10人の罪人でした。
不条理に、家族や人権そのものを奪われた10人は“戦争”というもの全体に立ち向かっていき…。
【十一人の賊軍】映画のラスト結末とネタバレ部分の解説
早速、映画の結末とネタバレ部分の解説をしていきます。
「十一人の賊軍」映画のラスト結末はどうなった?
罪人のほとんどが死にました。
新政府軍と旧幕府軍に板挟みにされた新発田藩(ざっくりと後述)。
結局、新発田藩は“無血開城”を成功させ、一部の民には感謝されていました。
無血開城とは…戦闘を行わず、守り手が攻め手に城を明け渡すこと。
ーデジタル大辞泉(小学館)
しかし、実際の戦争時にも多くの民の命が奪われるのと同じように、村民の命は、ここでいう“血”にはふくまれていないという残酷さ。
自分たちの故郷を守るため、命を張って戦った賊軍でしたが、2名を残して死亡してしまいました。
その後、生き残ったなつ(演/鞘師里保)とノロ(演/佐久本宝)は、命を落とした政(演/山田孝之)に代わり政の妻・さだ(演/長井恵里)に金貨と、政の手ぬぐいを渡しにいきます。
村は祝福ムードで浮かれていながらも、さだは女郎として生きるほかなくなっていました。
たくさんの死と怒りを見たなつとノロは、チンドン屋が鳴らす笛の音を背に、村を全速力で駆け抜けます。
2人の表情は、私たちには見えませんでした。
罪人たちが逃げずに戦った理由

鷲尾(演/仲野太賀)の強引すぎる引き留めで逃げられなくなったから。
官軍が賊たちを助けてくれる流れになったとき、10人は速攻で武器を捨て擦り寄っていきました。
そもそも旧幕府軍にも怨みがあった面々、強くて守ってくれそうなら誰についてもよかったのです。
しかし、気狂い的な方法で賊たちを引き留めた鷲尾。
アツい男・鷲尾は「故郷の村を守りたい」という至極まっとうな考えを持っていましたが、賊たちの中には村に居場所のない者も多い。
しかし鷲尾が勝手に官軍にケンカを売った結果、賊たちは戦わざるを得なくなったのでした。
賊たちが戦に本腰を入れたのは、いずれも死の瀬戸際。
戦に対しどうこうというよりも、賊軍の面々は、自らの死に際にこれまでの己の生きざまを重ねていたように思います。
溝口内匠の猿芝居の理由

切れ者の溝口内匠。戦の時代に最善を尽くして陣地を守ろうとしていただけ。
まだ幼さの残る若殿に仕え、うまく掌で転がしていた感のある溝口内匠。
事実、政治を切り盛りしていたのは溝口内匠で、かなり“しごでき男”という印象です。
しごでき男は、昭和の時代なんかでも家族に愛想をつかされていました。
家族のために働いていたのに、忙しすぎて家族を失うという悲しい現象はあるある。
溝口内匠も頑張って働いていただけ。
危うく腹を切る展開に追い込まれたときも、逃げもせず覚悟を決めて刀を抜いた、なかなかの肝っ玉男です。
“猿芝居”と揶揄されつつも、結局みんな溝口内匠に騙されてたじゃん!ということで、溝口内匠の完全勝利。
とはいえ失ったものが大きすぎて可哀想でした。
【十一人の賊軍】メンバーと罪状&生死のまとめ

続いて、賊軍のメンバーについて表にまとめてみました。
名前/キャスト | 罪状 | 生存/死亡 |
---|---|---|
政/山田孝之 | 殺人 | 死亡 |
赤丹/尾上右近 | 賭博 | 死亡 |
なつ/鞘師里保 | 火付け | 生存 |
ノロ/佐久本宝 | 脱獄幇助 | 生存 |
引導/千原せいじ | 女犯 | 死亡 |
おろしや/岡山天音 | 密航 | 死亡 |
三途/松浦祐也 | 一家心中 | 死亡 |
二枚目/一ノ瀬颯 | 姦通 | 死亡 |
辻斬/小柳亮太 | 辻斬り | 死亡 |
爺っつぁん/本山力 | 強盗殺人 | 死亡 |
鷲尾兵士郎/仲野太賀 | 罪人ではない | 死亡 |
【十一人の賊軍】映画は実話?元ネタの新発田藩の裏切りとは…
続いて、歴史まじ大嫌い・アレルギー反応不可避の筆者が、映画がわかりやすくなるような説明を心がける挑戦項。(歴史って漢字が多いよね!)
大政奉還により二分された日本で”戊辰戦争”が起こる
物語のベースとなるのは戊辰戦争。
映画本編で描かれるのは、戦争というものがもたらすゴミのような実害。
誰と誰が戦って、誰が勝って負けたというのは、距離がある場所でおこなわれている出来事です。
戦争というのはいつでも、庶民の命、その犠牲以外のなにものでもないということをしっかり描いた本作。
まじで意味のない攻防、プライド、そして悲しいほど軽いひと1人の命というものを、今の時代に描くことに意味があったのでしょう。
戊辰戦争とは、新政府軍(官軍)VS 旧幕府軍の戦いだったらしいのですが、正直そんなことわからなくても映画は楽しいです。
新発田藩は官軍に入ろうとしていたが?
いつの時代もつらい中間管理職。(ちがうか)
「どっちか決めなきゃだめなん?だるいわ」という感じで、特に展望もなく、とりあえず「今死ぬのは嫌だな」的なスタンスの新発田藩。
のらりくらりやっていたら、旧幕府軍が城まで来てしまってやばい。
ここに官軍がきたら戦争不可避すぎる、どうしよう!
「みんな、戦うのはやめようよー!」と叫びたいところでしょうが、世は戦争にまみれているのです。
新発田藩は、心理戦でのらりくらりと新・旧両者を「まあまあまあ」とやる中間管理職的ムーブをしていた藩です。
実際の戦争はどう終結したか
結局は官軍側についた新発田藩。
官軍側についたからなんなのかというのは、まったくわからないのですが、人はたくさん死にました。
新発田の村は守られた的な雰囲気もなきにしもあらずですが、実際にはもちろん多くの民が強姦されたり暴行されたり殺されたりしていたのです。
歴史上の勝敗など、民にはクソの端っこほども関係ないということ。
現在の新潟県民の間でもしこりが残っているというのだから、何のための“無血開城”だったのかという…。
どうすればよかったのかは、ちょっとわかりませんが。
「十一人の賊軍」は官軍を足止めするために結成されたチーム

日本版スースクとしてひゃっほい楽しむのが映画「十一人の賊軍」の正解!
新政府軍がざっくりと「新しい時代を作りましょう!」という進歩主義とすれば、旧政府軍を保守と見るのが常。
しかし、世の中は2つにくっきりとはわかれていないのです。
そして、そのどちらもが悪ではなかったはずで。
2020年を越えたというのに戦争にまみれた現代で、「十一人の賊軍」は善でもあり悪でもある、板挟み状態脱却装置としての決死隊を描いた。
本作を作る行為こそが、時代へのアンチテーゼでもありましょう。
真面目な話は置いておいて「問題を解決したら無罪放免」というブチアゲ設定はDC「スーサイド・スクワッド」そのもの!
キモチイイ終結など望めない戦争というものを、慎重にエンタメに落としこんだのが「十一人の賊軍」なのです。
【十一人の賊軍】映画で注目のキャスト3選!
次に、映画で特に注目してほしいキャストを紹介します。
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①政役/山田孝之

賊軍キャストのために部屋まで借りてくれたという孝之兄ィ。
方言かつ時代背景もあり、なかなかヘビーな台詞回しが要求された本作ですが、山田さんが演じた政のリアリティは格別。
犯罪動機も妻の敵討ちということで、いちばん人間くさい人物ではありますが、特筆したいのは政の顔芸!
慣れない刀をブンまわし、追い込まれると顔面で斬る(これは見て確認してほしい)政、マジだからこその迫力でした。
政のドアップを左から右に横切るカエルや爆弾も、エンタメ演出として注目してほしいです。
シンプルに、良い役者だなあ…という気持ちにさせてくれる山田孝之が好き!
②溝口内匠役/阿部サダヲ

「彼女がその名を知らない鳥たち」「死刑にいたる病」と、白石監督×阿部サダヲ作品の面白さは異常。
怖いほうの阿部サダヲを存分に愉しめる上記の2作は、本作の溝口にも通ずるホラーサダヲ。
溝口内匠は、けっこう平気で人の首とかを落とす感じで恐ろしい。
上下関係を守りながらも、虎視眈々と計画を遂行するのもサイコくさいです。
ドラマ「不適切にもほどがある!」とかと交互に見て、バグってみるのも楽しいでしょう。
③仙石善右エ門役/音尾琢真
白石和彌監督の推しともいうべき、音尾琢真の存在感は見逃せません。
「碁盤斬り」「死刑にいたる病」「ひとよ」「凪待ち」「孤狼の血」…数え上げたらキリがない、音尾さんと白石監督のタッグ。
白石監督の戦友、否、親友の可能性すらある音尾さんの役どころは、自分の立ちションに飛びこむという汚れっぷり。
政の怒りの元凶であり、物語のはじまりでもある仙石善右エ門の挙動に注目です。
【十一人の賊軍】映画の見どころ・重要ポイントを紹介
最後に、映画の見どころや重要なポイントを紹介します。
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見どころ①:爆・爆・爆破!
とにかく超お金がかかっていそうな、爆破に次ぐ爆破こそがいちばんの見どころでしょう。
「黒ぇ水」が流れる土地で、花火師の息子・ノロによってたくさん仕込まれた爆弾は、繊細な殺陣を無に帰す派手さ。
官軍がもつ大砲も派手さに加勢して、闘いは終始ボッカンボカンおこなわれています。
黒煙で画面があんまり見えないのもエモい!
肉片とか指なんかがぽろぽろ飛び散っているのも、白石監督らしくて素敵でした。
見どころ②:登場人物の非力さ

11人中9人が死ぬ非力ぶり。
大体の作品でバッドエンドを好んでいるように感じる白石監督ではありながら、本作のバッドエンドには、より深みがありました。
一難が去って村はお祭り騒ぎでも、主人公たちは家族を失い、仲間を殺され、心中おだやかではありません。
単純に、悪と善の構図がひっくり返るような展開がなかったことが、本作のポリシーだったように思います。
悪人だから死ぬとか、善人だから救われるとかではなく、そしてその逆でもない、それぞれの命という平等な一点もの。
ダブル主演のお2人まで死亡するのですから、なんだかリアルかつ圧巻の非力ぶりでした。
見どころ③:英雄のいない物語
前述した“非力さ”にも通ずる、ヒーロー不在の物語。
賊軍は罪人の寄せ集めで、彼らに村を背負う覚悟が宿るのはほんのわずかな時間だけ。
基本的に世捨て人で、己の無罪放免を心待ちにしている“だけ”なのが、嘘くさくなくてよかったです。
また官軍にしても旧幕府軍にしても新発田藩にしても、圧倒的なパワーをもつ人物はあまり描かれません。
皆が他責の気持ちを携えながら、時代のなかで戦にはげんでいる。
キラキラ輝く英雄が皆無だった、泥臭い2時間35分でした。
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脚本・池上純哉×監督・白石和彌の「孤狼の血」コンビが“らしく”描く戦争。
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