ポケットWi-Fiは「場所を選ばずにインターネットが使える」「スマートフォンのデータ容量の節約ができる」点がとても便利で、契約を考えている方は多いはずです。
一方で、いざポケットWi-Fiを契約しようとしても、さまざまなサービスが存在していて、どう選べば良いのかわからなくなってしまいます。
いくつかのポイントを理解するだけで、自分にあったサービスを選べるようになります。ポケットWi-Fi選びの参考にしてください。
ポケットWi-Fiの正しい知識を身につけよう
ポケットWi-Fiの選び方を知る前に、少しだけ予備知識が必要です。ここでは、契約にあたって最低限知っておくべき情報をまとめているので、ポケットWi-Fiをあまり知らない方は確認しておきましょう。
「Pocket WiFi」はY!mobileの商品名
まず始めに解説するのが、ポケットWi-Fiという呼び方についてです。実はポケットWi-Fiは、もともとソフトバンク系列の「Y!mobile」が展開するWi-Fiサービス「Pocket WiFi」のことを意味しており、「Pocket WiFi」はソフトバンクの登録商標です。
しかし、Y!mobileが認知されるにしたがって、「持ち運べるWi-Fi」のことを総称して、一般的にポケットWi-Fiと呼ばれるようになったといわれています。
正確には「モバイルWi-Fi」
したがって、正確にはポケットWi-Fiは「モバイルWi-Fi」と呼ぶのが正しいので、Y!mobileのサービスと混同しないようにしてください。
一方で、ポケットWi-Fiという呼び方は一般に広く認知されていますから、記事内でも特に言及がない限りはモバイルWi-FiのことをポケットWi-Fiと呼ぶようにします。
使用する回線は限られる
次に「ポケットWi-Fiが使用する回線」について解説をしていきます。ご存知の通り、ポケットWi-Fiはさまざまな企業が扱っていますから、「回線品質が高いサービスはどれか」と悩む方は非常に多いです。
しかし、サービス選びで絶対に知っておいて欲しいのが、「使用する回線は限られる」ことです。インターネット回線を自社サービスとして提供するには、全国に基地局を設置する必要があるので、莫大な時間と費用がかかります。
このような背景があり、ポケットWi-Fi事業を扱うほとんどの業者は、docomo・au・SoftBank、いわゆる3大キャリアの回線を借りて運用をしています。
そして、ご存知の通り、3大キャリア回線の全国のカバー率はほぼ100%の高い水準なので、どの業者を選んでも「全くつながらない」などの問題は起こりません。
WiMAXは独自回線で運用
しかし、KDDI(au)に吸収合併されたWi-Fiサービスである「WiMAX」は、独自で全国に基地局を整備し、インターネット事業を提供しています。全国カバー率は3大キャリアより少し低い水準ですが、年々基地局の整備が進んでいるので、3大キャリアと遜色なく利用できると考えてもいいでしょう。
つまり、ポケットWi-Fiは、3大キャリアの回線を借りているサービスと、独自に回線を提供するWiMAXの2つに分けられるので、この点は覚えておきましょう。
失敗しないポケットWi-Fiの選び方
ポケットWi-Fiに関する最低限必要な知識をまとめましたが、ここからは失敗しないポケットWi-Fiの選び方を、以下の4つのポイントに分けて解説していきます。
- 使用回線
- データ容量
- 利用料金
- 端末
どれも大切なポイントですから、順番に確認をしていきましょう。
1.「使用回線」で選ぶ
ポケットWi-Fi選びで多くの方が気になるのが、「使用回線」ではないでしょうか?先述の通り、WiMAXだけが自社の回線を運用し、他のサービスは3大キャリアの回線を借りて運用していますが、両者の電波には特徴があります。
それは、「遮蔽物への強さ」であり、3大キャリア回線の方がWiMAXより遮蔽物に強いです。
このような違いが生まれる理由は、両者が使用する電波の周波数にあります。3大キャリア回線は「LTE」を通信規格として採用しており、周波数は700MHz〜900MHzです。一方で、WiMAXの周波数は2.5GHzであり、LTEの方が低い周波数となっています。
一般的に、周波数は低い方が遮蔽物の影響を受けにくいので、LTEを採用する3大キャリア回線の方が建物などの遮蔽物に強いです。
WiMAX 2+サービスが利用する周波数帯(2.5GHz帯)は、ほかのモバイル通信(700MHz~2GHz帯)と比べ、周波数が高い。電波は周波数が高くなるほど直進性が強く、遮蔽物に弱くなるという特性があるので、WiMAX2+は建物内では電波が弱くなったり、圏外になったりすることもある。
引用:今さら聞けない『WiMAX』とは? 仕組みや速度、注意したい点などを徹底解説 – TIME&SPACE bt KDDI
WiMAXの対応エリアに注意
したがって、WiMAXを選ぶ場合には、地域によるつながりやすさを、公式サイト上の「サービスエリアマップ」で必ず確認しましょう。
こちらの画像は、本州のサービスエリアマップです。赤色で塗られた地域がWiMAXの対応エリアであることを示しており、東京・名古屋・大阪・福岡・仙台といった、全国主要都市の周辺で、特に赤色が強くなっていることがわかります。
逆にいえば、色が塗られていない地域では、WiMAXが使えないことを示しているので、お住まいの地域がWiMAXに対応しているのか、事前に調べておきましょう。
「お試し」で回線品質を確認しよう
また、いくらLTE回線・WiMAXでカバーされていることがわかっていたとしても、「実際に使えるのか」が気になって、契約まで進めない方もいるのではないでしょうか?
そんな方におすすめなのが、ポケットWi-Fiの「お試し」です。インターネット回線は、理論値と実測値に大きく差が出ます。各社は「最大速度」を宣伝しますが、あくまで理想環境での通信速度であり、実測値ではありません。
実際、利用いただいている方にはその速さを体感いただいていますが、一方で理論値と実測値の間に差があることも事実です。
実測値は、
- 地域
- 遮蔽物
- 使用端末
このような要因で大きく変動しますから、ポケットWi-Fi選びで失敗をしたくない方は、お試し期間があるサービスを選びましょう。
WiMAXでは、2週間の無料お試しとして「Try WiMAX」を提供しています。WiMAXは遮蔽物に弱い電波を使用するので、実測値の検証が非常に重要です。契約前に使用する地域・端末で、使用感を確かめておくことをおすすめします。
2.「データ容量」で選ぶ
自分にあったデータ容量のプランを契約しなければ、「全然データが足りない」「データが余ってしまう」といった問題が起きてしまうので、ポケットWi-Fiは「データ容量」で選ぶことも大切です。
プランには2つのタイプがある
各サービスによりデータ容量のプランは異なりますが、大きく分けて以下の2つのタイプに分けることができます。
- 上限があるタイプ
- 1カ月あたりの上限が決まっているプラン。
- 無制限タイプ
- 上限がないプランだが、完全な無制限ではない。
まず「上限があるタイプ」ですが、スマホの契約と同じイメージを持ってください。1カ月あたりの容量はサービスのプランによって変わりますが、以下の上限を設定しているサービスが多いです。
- 7GB
- 30GB
- 100GB
この上限を超えてしまうと、スマホと同様に速度制限がかかってしまうので、上限を気にせずにデータを使いたい方にはおすすめできません。
一方で、「無制限タイプ」では「◯◯GBまで」の上限がないので、「上限があるタイプ」よりはストレスなくインターネットを楽しめます。しかし、以下のような細かいルールも設けられているので、注意が必要です。
- 回線が混雑している時間帯
- 短期間で大容量の通信をした場合
たとえば、WiMAXの無制限プランでは「3日で10GB」を超えると、その翌日に速度制限が入る明確なルールが設けられています。
ユーザー側はこれに気をつけてインターネットを使えば良いので、対策をすることが可能です。
また、仮に速度制限されたとしても1Mbpsの速度で使用できますから、Webページの表示やSNSの使用、画質を落としての動画視聴など、日常生活レベルのことなら問題なく行えます。これが「WiMAXの使い放題プランは実質無制限」と呼ばれる理由です。
一方で、厄介なのは、明確な基準なしに速度制限をかけられてしまうサービスの場合です。契約時に上記の場合に速度制限をかけることに同意をする必要がありますので、したがって、サービス都合の突然の速度制限も、受け入れなければいけません。
また、速度制限時の速度も、WiMAXのような1Mbpsではなく、8分の1程度の128Kbpsにされることが一般的で、この速度は何をするにもストレスです。
したがって、ポケットWi-Fiを選ぶ場合は、たとえ無制限プランだとしても、どのような場合に速度制限が入るのか、また速度制限時の速度がどの程度なのかを確認しておく必要があります。
用途にあった容量を選ぶのが大切
日常生活でどのようにインターネットを使うかは人それぞれなので、それぞれの用途がどの程度の通信料を必要とするのかを知っておくことも大切です。
以下で、用途別の「1GBでできること」をまとめてみました。
用途 | 1GBの利用可能目安 |
---|---|
Webブラウザ | 6,600ページ |
メールの送受信 | 2,000通 |
LINE音声通話 | 40時間 |
LINEビデオ通話 | 3時間 |
動画視聴(中画質) | 1.5時間 |
LINEの音声通話が40時間、動画視聴が中画質で1.5時間できるので、1GBでできることは、想像以上に多いのではないでしょうか?
上記の用途を毎日行って、ようやく1カ月あたり30GBの通信料を消費するので、30GBが上限のプランでも十分な方は多いはずです。
一方で、高画質でYouTube・映画・スポーツ観戦といった動画視聴を楽しみたい方にとっては、30GBは数日で消費し尽くしてしまうデータ容量でもあります。100GBを超える容量でも足りないくらいですから、WiMAXのような実質無制限のサービスを選ぶべきです。
したがって、上限が決められているのが嫌だという理由で無制限プランを選ぶのではなく、用途にあわせたプランを選んで、賢くポケットWi-Fiを利用しましょう。
3.「利用料金」で選ぶ
ポケットWi-Fiは毎月利用料金がかかるので、できるだけ安く利用したいものですが、「とにかく安いものを選べば良い」わけでもありません。
利用料金でポケットWi-Fiを選ぶ上で大切なことは、1カ月あたりの必要データ容量をまず決定し、その中でコスパの良いサービスを選ぶことです。料金だけで選んでしまうと、「安いけど全然データ容量が足りない」となりかねず、せっかくの契約が台無しになってしまいます。
スマホとのセット割引を利用しよう
また、ポケットWi-Fiの利用料金を考える上で大切なのが、スマホ契約とのセット割です。実は、スマホを3大キャリアと契約している場合、そのキャリアが展開するポケットWi-Fiを契約すれば、割安な料金で利用できます。
そして、3大キャリアのなかでも代表的なスマホ連動割引が、auが展開する「auスマートバリュー mine」です。
こちらのau公式サイトの画像にあるように、「auスマートバリュー mine」では、auユーザーがWiMAXのWi-Fiルーターを契約すると、毎月最大1,000円の割引料金で利用できます。ポケットWi-Fiは非常に競争が激しく、各社「数百円単位」で価格競争を展開している中で、最大1,000円割引を受けられるのは非常に大きなメリットです。
このように、ポケットWi-Fiは「スマホキャリア」との関連も強いので、サービス選びの際の参考にしてください。
「口座振替」で支払えるサービスは少ない
ポケットWi-Fiの料金情報で重要なのが、「支払い方法」です。ほとんどのポケットWi-Fiはクレジットカードだけを支払い方法としており、口座振替が利用できるサービスは非常に限られます。
キャッシュレスがどんどん進んできているので、クレジットカード支払いを選ぶ方がほとんどだと思いますが、口座振替を利用したい方もいるでしょう。その場合は、必ず事前に口座振替に対応しているかどうかを確認した上で、サービス選びをしてください。
4.「端末」で選ぶ
ポケットWi-Fiは契約のときに、使用する端末を選ぶ必要があります。「どの端末を選んでも同じ」と思う方も多いですが、決してそんなことはありません。
では、どのような点が端末によって変わってくるのでしょうか?特に重要なものを、以下で3つまとめてみました。
- 最大通信速度
- 端末の理論上の最大速度。
- 同時接続台数
- 同時に何個まで端末を接続できるか。
- 連続通信時間
- バッテリーの容量。
どれも重要な要素であり、最新端末になればなるほど端末のスペックは向上していくので、ポケットWi-Fiの契約の際は端末情報に注意してください。
古い端末での契約に注意
また、いわゆる「格安」を強みにしているポケットWi-Fiサービスのなかには、型落ちの端末を提供することで、利用料金を下げているサービスも存在しています。
しかし、契約を考えているユーザーの多くは「端末」をあまり気にしないので、これを知らないまま契約してしまいます。そのため、契約後に「通信速度が遅い」「バッテリーがもたない」などと感じる可能性もあります。
一方で、使用用途によっては古い端末でも十分な通信速度を持っているので、最新端末で最大通信速度が向上しても、あまり恩恵を受けられない方もいます。また、連続通信時間(バッテリー容量)の問題は、モバイルバッテリーを持ち歩くことで対策が可能です。
このような事情から、「古い端末でも問題ない」と考えて格安系のポケットWi-Fiと契約するのも選択肢の1つです。
まとめ
ポケットWi-Fiには多数のサービスが存在しているので、選び方を知っておかないと思わぬ失敗につながってしまいます。
- 使用回線
- データ容量
- 利用料金
- 端末
この4つの観点に注目すれば自分にあったサービスと契約できますから、ポケットWi-Fiのサービス選びの参考にしてください。